4月3日朝日新聞千葉版から
千葉県柏市が、無料通信アプリの「LINE」などのやり取りを監視するトラブル防止アプリを、柏市内の一部の中学校の中学1年生の保護者に無償提供する実証実験を始めるそうです。
スマートフォンの普及でインターネットのトラブルも増加傾向にあり、これらのトラブルから子どもたちを守ろうと、いじめや犯罪などのトラブルを早期に発見するのが狙いです。ただし、プライバシーに踏み込むことに課題もあるそうです。
「Filii(フィリー)」による実証実験
東京都港区にあるITベンチャー企業、エースチャイルドが開発した交流サイトの危険を検知・通知するアプリ、「Filii」(フィリー)を導入し、実証実験をするそうです。
導入の大きな目的は、第三者が見ることができない「LINE」の監視ですが、Facebook、カカオトーク、Twitterなども見張ることが可能だそうです。
「Filii」について
親子がそれぞれのスマートフォンに「Filii」のアプリを入れると、「LINE」上で子どもが受け取ったメッセージを監視し、いじめや犯罪につながりそうな単語を抜き出して親に通知する仕組みだそうです。また、子ども自身も親への通知内容がわかるようになっているそうです。
アプリが検知する単語は約20000語で、「悪口」「暴力」「出会い系」などの10のカテゴリーに分かれているそうです。
例えば「バカ」などの他、「KY」(空気が読めない)というような略語や、援助交際などで使われる「応援」などの隠語といわれるものも通知され、さらに危険度の高さも警告されるそうです。
子どもが交わした会話の原文は親に伝わらないものの、いつ誰と会話し、どんな単語が使われたのかがわかるといいます。
他にプロフィールの分析機能があり、子どもがSNSなどで設定しているプロフィールを分析し、「Filii」で確認できるそうです。
●アプリ版はAndroid(4系、5系)のスマートフォン、タブレット、音楽プレーヤーで利用可能で、iphoneではブラウザからの利用になるそうです。
●ユーザーの登録はFacebook認証またはメールアドレスです。
柏市の少年補導センターではこれまでもネットで監視してきましたが、LINEだけは状況がわからず、限界があったそうです。
柏市の実証実験をする際には、「Filii」は市の仕様に改良され、子どもたちがスマートフォンと交流サイトを利用した時間帯と時間数がデータが匿名化され、市に提供されるそうです。
柏市の少年補導センターは、トラブルがあった際の相談窓口になり、学校や警察などと連携して対応にあたるそうです。「Filii」の導入でネットトラブルの8割の防止を目指すそうです。
プライバシーをのぞく行為が課題
スマートフォンに「Filii」を入れるには、子どもの同意が前提なので、親子で「Filii」の内容と目的を理解することが必要で、子どもによっては強い抵抗を示すかも知れません。
「Filii」は約3000人の保護者が利用しているそうで、柏市のように自治体単位で導入するのは初めての試みだそうです。
利用者の口コミ
子供が利用しているSNSやコミュニケーションアプリの利用状況を、手間無く、分かりやすくすることができるサービス。どんなユーザと交流があるかがリストになって出てくるので、ひと目でわかってとても便利です。
中学生のこどもがいる母親
子供と交流のある人物や興味のある人物が一目瞭然で分かりやすい。改めて客観的に子供の交友関係を見直すことができた。アラートリストやアラート検索で危険因子も見つけやすく、何かあったときのために、と考えて使うと、安心できるサービス。
高校生のこどもがいる父親
出典:https://www.filii.net/
今回の柏市の実証実験はスマホを持ち始めることが多い中学1年生の保護者を対象としていて、柏市の少年補導センターは「Filii」を入れることを条件にスマホを持たせるという状況に持っていきたい考えだそうです。
無償提供の期間は4月7日から7月20日で、柏市が指定する5校の他、希望する学校5校の合計10校で実施するそうです。期間終了後に継続したい場合は、月額400円の料金がかかります。柏市では実験結果を分析し、アプリの代金の補助などを検討するそうです。
まとめ
自治体で導入し、実証実験をするとは子どもたちの周りでいかにネットのトラブルが多いのかがわかります。いじめだけではなく、ネットで第三者から「気軽にバイトしてみない?」など犯罪に巻き込まれるケースもあると聞きます。
また、子どもがスマートフォンを持つようになると、子どもの友達から家の電話にかかってくることがなくなり、家でいろいろな会話をしないと子どもの交友関係すらわからない、といった声もよく耳にします。親にとっては、子どもの交友関係もわかり、交流サイトを利用した時間や時間帯が把握でき、子どものスマホの使いかたを注意できる材料にもなりそうです。
監視されていると思うと、子どもにとってはいやなアプリかもしれませんが、いじめや犯罪などから自分の身を守る自衛アプリと考えれば導入しやすいかも知れません。